"Discover Japan" at Tokyo Station Gallery. / 「ディスカバー・ジャパン」展。発見する楽しさ。気づくちから。

1970年代の当時の国鉄の広告キャンペーン、『ディスカバー・ジャパン』についての展示に行ってきました。

via TokyoArtBeat


『ディスカバー・ジャパン』とは、万博閉会後の1970年10月にスタートした大々的な旅行促進キャンペーンです。

広告主は富士ゼロックス。

「国内旅行の広告ポスターになんで英語を使うんだ」といわれるような時代に『ビューティフル』という単語をキーにしたり、外国人モデルをメインに使ったり、かなり実験的な取り組みだったようです。

脱広告。商品を宣伝しない広告。
電通の藤岡和賀夫さんがメインプロデューサーとなり、広告の持つ公共性、社会へ提言する力、そういった広告の文化価値を追求したものでした。


ちょうど万博が終わり、高度成長期が静かに終わろうとした時期。

豊かさとひきかえに人間性を犠牲にしてはならない。
調和ある進歩、真に実りある幸福とはなにか。
など内省的になっていたタイミングです。

藤岡さん自身も、自らも深くかかわった万博に対する違和感があったとのこと。
多くのパビリオン、関連施設は取り壊しになりましたが、その費用は100億円とも言われています。
祭りのあと、とはよく言いますが、目のまえで万博の象徴が取り壊され、巨大な廃棄物となっていくのはきっと想像を絶するショックです。
夢から覚めた、と同時に、終わりのないリアリティと向き合わなくてはいけなくなりました。

だからこそ、この時期に彼自身が誰よりも強く価値転換を求めたのかもしれません。


『ディスカバー・ジャパン』では印象的なポスター、新聞広告、その他にもスタンプラリー、グッズ販売、関連季刊誌(ムックのようなイメージ?)の発行、ラッピングトレインなど複数のメディアがミックスされていました。

毎日新聞紙では錚々たる執筆陣&アーティストが寄稿しており、
ハイレッドセンター高松次郎さんといった当時最先端のアーティスト、建築家のミシェル・ラゴン、高階秀爾さんといった美術評論家、宇宙研究家から音楽家、思想家、起業家などの記事が並んでいます。

とにかくメンバーが豪華。
そして誌面のデザイン性がめちゃ高い。

“紙上万博”といっても過言ではありません。

こういった時代の葛藤や転換期独特のパワーを広告のなかに見出せるのはとても貴重です。

クリエイティビティ、メッセージともに色あせることなく、今展示を見ていても迫るものがあります。
「広告」はたくさん生み出され、消費されますが、世の中に影響を与えられるものって意外と現れません。
公共性も高く、世の中の動きをリードし、結果的に消費者としての女性台頭や旅行ブーム、そして旅というライフスタイルを生み出したのだと思います。

広告がこれほど人・時代を動かせるんだなぁ、と。

いま拒否できないくらい広告に囲まれていて、「広告を押し付けられている」「マーケティングに踊らされたくない」「メッセージのないメッセージをもう浴びたくない」と日々思っているのですが、こういう素晴らしい広告を知ると、ちょっと希望が持てますね。


あと、とにかくポスターのビジュアルがよかったです。
第一号のポスターは、わざと撮影場所の情報を消し、イメージの匿名性が最大限高められています。
ユートピア的ともいえるようなイメージ。
自分たちの国なのに、今までまったく知らなかった場所。
いったいそこはどこなんだろう、と惹かれる写真です。

絵葉書からの脱却。風景からの脱却。
どこかわからないけれど、その“場所”が主役になっています。

改めてグラフィックの強さ、一枚の写真の可能性を感じました。


広告と芸術、二つの分野がストレートに交差する展示でとても考えさせられる内容でした。

そして、旅の目的地よりも、旅ごころ。
あらためて【旅する】こと、なにかを探しに行く(ディスカバー)することっていいな、とおもいました。


当時のananの表紙。旅行ブームの一翼。


■東京ステーションギャラリー
東京都千代田区丸の内1-9-1

ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 「遠く」へ行きたい(DISCOVER, DISCCOVER JAPAN)展 公式ページ

□広告関連過去記事 mission [SPACExART] - beyond cosmologies. / 『宇宙x芸術』? 

コメント

このブログの人気の投稿

Casual dishes in Barcelona./ バルセロナでゆるーい美食を。

One-day Juice Cleanse. / レインボー・ジュースクレンズ。

MURDER POLLEN's 15th Anniversary. / マーダー・ポーレンの新作をもとめて。