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Coloring Books for Adults. / 最近流行の「大人の塗り絵」。

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国内外で話題になっている「大人のぬり絵」。 via Amazon.co.jp 本屋さんでやたら見る『Secret Garden』。 確かに、どことなく絵にストーリーがあって、デザインも繊細で、これに自分で色をつけてみたい!と やる気を起こさせる内容。 ここ2,3年、日本でももちろんよく見かけますが、海外では小さめの本屋さんでも必ずといっていいほど置いてあります。 どうやら世界的に『ぬり絵』がトレンドのよう。 先月売りの『VOGUE JAPAN』8月号(6月28日発売)に 「ファッションぬり絵」 なる付録がついたことは衝撃でした。 ぬり絵と侮るなかれ、さすがはモードの頂点。 1950年代の『VOGUE』の表紙やファッションフォトをイラストに起こしたスペシャルな「ファッションぬり絵」はディオールやシャネルのデザインを含む豪華4作品付き。 自分で色を塗り完成させる…それだけでも楽しいのだろうけど、できた作品をインスタグラムでシェアする投稿型のキャンペーンも開催中。 現代を代表するデザイナーたちもおのおのの “ぬり絵” 作品を投稿しているので、それぞれの世界観を見比べてみるのもおもしろいかも。 Instagram のハッシュタグ #coloringvogue でシェアされたぬり絵が一気見できる!というソーシャルキャンペーンでした。 最近だと、 おしゃれな旅行ガイドなどデザイン・アート系の本をよく出版してくれるパイインターナショナルも 『民族衣装のぬり絵ブック』 を出していました。 なんと世界24カ国のロマンティックな民族衣装が一冊に収められている模様。 8/9 発売。 パターンなども大きくわかりやすい。 説明もしっかり。読みのもとしても充実。 たしかに、ぬり絵に没頭できたら嫌なことから解放されストレス解消にもなるし、何かを “つくる” ことで達成感も感じられるかもしれません。 ほぼ作ってくれてて、色付という “最後の仕上げ” だけをやればよい、その単純な作業のもつパワーは大きいですね。 以下はCNNで英語の勉強がてら読んだ記事。 The pros and cons of your coloring books obsession I read an interesting art...

Brooklyn Flea in W/W. / ブルックリンの屋内フリマ。

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いまはニューヨーク一有名なフリーマーケット、 Brooklyn Flea 。 秋冬は屋外に場所が移動するって知ってましたか? そんなこと知らなかったので、調べていってよかった…。 夏しかニューヨークに来たことがなかったわたしは危うく寒空の中 Williumsburg の道端に出向くところでした。 10月17日からはその名も "Winter Flea" となり、Industry City(241 37th st) へ場所を移しての開催となるのでした。 なんとSmorgasburg の Food Flea も合同開催されるので一石二鳥、そして雨でも問題ないという至れり尽くせり。 会場のIndustry City はブルックリンのなかでも結構南の方。 わたしが住んでいる Greenpoint からだと約40分の道のりでした。 メインは Building 2。1階から6階までが会場となっています。 行ってみてびっくりしたのは、アトリエがたくさんあったこと。 4~6階までは、アトリエが点々と公開されていました。 Open Studio ということで、建物の中にアトリエを構えるアーティストの作品はもちろん、制作現場に入れます。 展示即売会みたいなことをやっているスタジオもあれば、ちょっとしたパーティをしているところも。 みなさんとてもフレンドリーで、商談をしなくても楽しめます。 鹿。作品のメインは写真のコラージュでした。 明るいドローウィング。 自由にたべてもいいよう。 特に素敵だと思ったのはこちら。 Jean Wolff さんの作品。 一番ちいさなものは100ドルから買えたと思います。 タイルの作品。素晴らしかった! もちろん商談も可能。 作品いろいろ。 こちらではワークショップも。 Building 2の 3階は、プロ向けのVintage Marketplace がありました。 エントランスで15ドル払って入るのですが、せっかくだから行ってみることに。 ハイファッションのヴィンテージも。 ...

Korin's Art. / 『光琳アート』展 @MOA美術館。

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MOA美術館 で開催中の『光琳アート』展に行ってきました。 国宝の 《燕子花》 と 《紅白梅》 の屏風が同じ部屋に対になって展示される…という壮大な企画です。 しかも、同時展示自体56年ぶり。 当時の皇太子(現・天皇陛下)の婚礼を記念しての展示以来とのことでした。 尾形光琳 (1658-1716)は江戸時代の芸術家です。 光琳は 本阿弥光悦 や 俵屋宗達 らの表現をさらに洗練させ、彼らの表現はのちに“琳派”と呼ばれるグループになります。光琳の作品たちはその “琳派” の最高傑作をも言われています。 今回の展示は、江戸時代期の名作からはじめ、その影響を今日の現代アートにも見出そう…という壮大なストーリーです。 琳派はもちろん、光琳についてもよく知らず熱海まで行きましたが、特別セミナーで基本情報と展示の見どころのレクチャーを受け、琳派偏差値を55くらいまで上げることに成功しました。 via wikipedia 5000円札の裏面。左には《燕子花》の一部が! 表は樋口一葉さんのアレです。 個人的に、構図もアレだし、ちょっと盛り込みすぎでは…?とおもいますが、こんな身近なところにも光琳がいます。 国宝  《紅白梅図屛風》。 白梅はほぼ画面の外でかなりまがって描かれているのに対し、紅梅は収まっている、直立。 真ん中に流れる川は、緩やかに時間の存在を感じさせてくれます。 国宝 《燕子花図屛風》 もともと、 『伊勢物語』の第九段の八橋 を主題した作品です。 ただ、肝心(?)の橋は消え、物語を印象づける燕子花の群生だけが描かれています。 これらの作品がソース(基)となり、 福田平八郎 の 《漣》 (←サザナミ、と読むようです。)や、森口邦彦の三越のショッピングバッグ、 会田誠の 《群娘図’97》 など… にも光琳の構図・表現方法の影響がみられます。 《漣》 はあたまで考えたものではなく、自然なはたらきを、 《白地位相割付文 実り》 (←しろじいそうわりつけもん みのり、と読むようです。)はリンゴというモチーフを友禅という伝統的な染物のなかにグラフィカルに描かれ、 《群娘図》 では現代の風俗をあらわす“娘”たちを“燕子花”に見...

Nude and Still-life Paintings. / 裸体と静物画。

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美術館に行くと、考えてしまいます。 かれこれ、西洋絵画とはずーーーーっと 裸体と静物画だったんだな、と。 ポップアート くらいまでは、描く対象があまり変わっていないような気がしています。 静物画は名の如く、基本的には 動かないものを描いています。 17〜18世紀ごろはもっぱら人間の虚栄をむき出しにするものとして使われ、 時間という謎に対する問いかけ、 さらには死や生命について考えるための大テーマでした。 また、著名な画家ほど 大作の合間に静物画を描くようです。 音楽家が音階を弾くように、 絵かきは技術を確かめ精進するために静物画を描くようです。 一方、裸体は 人間の真の姿、 一番単純でこれ以上になく完璧・重大なテーマであり、 古代からずっと古典であり 時代を超えた“ひとの姿” ででした。 とにかく興味深い対象だったという意見もあれば 神話やキリスト教といった高尚なエピソードを借りて、 ただただ “裸” を描く口実にしていたという意見も。 特に近代の裸体画を観るたびに、 なんだかんだ 後者の理由が圧倒的じゃあ…、と思わずにはいられません。 すきな画家、と言われたときに わたしは マティス(Henri Matisse ) と アングル(Jean-Auguste-Dominique Ingres ) を挙げます。 マティスはその自由なイメージ、最後の最後にはいつも 希望を残してくれるような絵がいつまでたってもすきで 一方で、アングルは艶めかしく、体温さえ感じられるような表現、 ドラマティックな構図に心が奪われています。 《アンジェリカを救うルッジェーロ》 こちらの絵はイタリアの大叙事詩、 『狂えるオルランド Orlando Furioso』 の一遍が描かれています。 主要登場人物のひとり、 ルッジェーロ (名門貴族・ エステ家 の始祖)は 身体の前半身が鷲、後半身が馬の伝説上の動物である ヒッポグリフ に騎乗し 様々な冒険をします。 そのなかで、魔法の盾でオルクと呼ばれる海の怪物を退治する場面が描かれています。 ただ、正確にはルッジェーロはオルクを追い払ったのみで、 のちに主人公 オルラン...

A Man in a classic suit @Musée de l'Orangerie / オランジュリーの紳士。

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近代の絵画の発展において 画商(ギャラリスト)やアートディーラーの存在は大きい。 特に、印象派がここまで大きな影響力・ムーブメントとなったのには 当時活躍した ポール・デュラン=リュエル や アンブロワーズ・ヴォラール の存在があってこそ。 彼らは20世紀前半のフランスで 印象派 から エコール・ド・パリ に至る名作を 蒐集したギャラリスト(画商)、そしてコレクターです。 そのなかでも、 印象派と縁が深い画商、ポール・ギョーム(Paul Guillaume)のコレクションを 堪能できる オランジュリー美術館(Musée de l'Orangerie ) は外せません。 ふつう、オランジュリーといえば モネ の 《睡蓮》 。 《睡蓮》 の展示。写真はwikipediaより。 ツアーなど短い時間でこの美術館を訪れると 《睡蓮》 の連作しか観ない方もいらっしゃると思います。 もちろん オランジュリー美術館自体、 クレマンソーが 《睡蓮》 を飾るために作った場所ですし 傑作であることには違いありません。 ただ、巨匠が大作に挑むまでには 多くの人の力が必要だったことも忘れてはいけないでしょう。 《タンギー爺さん》。ロダン美術館蔵。wikipediaより。 例えば、 タンギー爺 さんのような画材屋さん。 ルノアールが描いた息子クロード。 たびたびモデルにもなっている奥様や家族。 そして、画商。 ポール・ギョームは死後、奥様の手によりそのコレクションの多くを寄贈 され、 現在のオランジュリー美術館が収蔵するほとんどの作品を形成しています。 審美眼をもった有能なビジネスマンでだったポールの場合、 自分自身も美術品コレクターになりました。 欧米では美術商が年老いて生涯を終えるとき、 そのコレクションをまとめて国や美術館などに寄贈することは 大変美徳とされたようです。 実際、高額な相続税やその保管の問題もあり 寄贈せざるを得ない場合もあるのだとは思います。 ただ、個人コレクションがパブリックになることにより 現在わたしたちが自由に観に行けるようになっ...

The Sounds of Water. / 山種美術館 《水の音》 展。(前期)

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またもや 山種美術館 に行ってきました! 今年はもしかしたらすべての企画を見ているかも… というくらい、この小さな美術館にはまっています。 キュレーションがおもしろくって 毎回テーマを変えては日本画の素晴らしさ、楽しさを教えてくれます。 お盆の来客数が減る時期を見込んでか 学芸員さんによるガイドツアー があったので それに入れてもらいました。 さて、今回は「水」がテーマ。 川、海、滝、雨の各セクションがあり、 古くは歌川広重さんの浮世絵から 現在も活躍中の千住博さんの「ウォーターホール」まで。 夏にぴったりの水というテーマですが わたしにはさらに「行かねば!」と惹きつけるものが。 なんと、前期にはマイホームタウン・鳴門の渦をテーマにしたものが3点もあるのです。 いまは橋が架かっていて描かれた風景ではありませんが、 大きな渦潮はめずらしいらしく 昔から絵画のモチーフになっていたことはとても面白いと思いました。 行かねば! まず、入ってすぐにあるこちら。 奥村土牛 さんの『鳴門』。 激しく躍動感があるはずの渦潮ですが どこか優美で柔らかい印象です。 金箔を貼り、その上に色を重ねているのだとか。 ゴージャスですね。 二作目はこちら。 3枚の連作。 歌川広重 さんの《雪月花之内 花》 の 『阿波鳴門之風景』です。 おいおい、花が描かれてないぞ! と言われそうですが、渦が花の代わりとなっています。 三つ目は屏風の作品。 左隻の一部。 川端龍子 さんのこれまた『鳴門』。 六曲一双と “会場芸術” を謳った彼らしい大型の作品。 院展(=要はメインストリーム)を飛び出して 新しい道を進もうとした彼の初期の作品とのこと。 真っ青な海の色に、白く泡立つ波。 ダイナミックで清涼感と躍動感が全面に感じられます。 非常に大型で迫力満点。 直前に “赤の元宗” こと 奥田元宋 さんの『奥入瀬(秋』もあり、 “青の龍子” と見比べるもよし。 企画の面白さ、展示の面白さ。 このあたりに、キュレーターの意気込みを感じます。 奥入瀬が大すきで晩年になっても奥様と訪れ デッサンをしていたという元...

Beauty of the blank. / 余白の美。

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『余白の美』。 一番好きな日本語です。 シンプルとかじゃく、無。 意図的な無。 シンプルとかミニマルとか、 近いかもしれませんが、 それはやはり西洋的な思考というか。 NHKのアナウンサーは、視聴者に考える時間を与えるため あえてトピックスとトピックスのあいだに時間をあけると聞いたことがあります。 なるほど、民放のニュースは確かに断間なく 何かしら効果音とかが入っている気がします。 テレビ朝日系 「熱闘甲子園」 の一瞬無音になるタメだったり、 あだち充の漫画だったり。 “無” が与える効果って大きい気がしています。 世界遺産のあの法隆寺にも 『余白の美』 を見つけることができるようです。 参考) 「空白の美」の原点、法隆寺の謎を解く 大陸の宗教建築物や宮殿は、中心に建物が威風堂々と連なり、 左右対称のものがほとんどなのに対し、 紫禁城@中国。 タージマハル@インド。 法隆寺は真ん中が空白の状態になっており、感情移入がしやすいらしいです。 確かに「威圧感」というよりも「引き込まれる」ような作り。 左:現在の法隆寺。 右: 四天王寺の南北・縦一列の伽藍配置。旧法隆寺もこのかたち。 伽藍配置という特徴的な造りです。 外国にこういう考え方があるのかな、とおもっていましたが わたしのなかで唯一思いつくのはウォーホルの絵。 『エルヴィス』。@福岡市美術館。 セレブリティシリーズにも、わざと無地のスペースを残した作品が多くあります。 約103億円で落札されました。 こちらは 《死と惨事》 シリーズのひとつで、 当時サザビーズで過去最高額がついた作品です。 シルクスクリーンを使った転写により しつこいほどの “反復” を好んだ彼の作品ですが このようにブランク・キャンバスをあえて並べたものが多くあります。 この空白のキャンバスの理由についてウォーホルは 単に絵が大きい方が高く売れるから、とうそぶいていました。 ただ、この余白は完全に意味があるもので、 反復されたイメージの隣にあるため その空虚感は大いに増幅されます。 時間の推移や虚無を感じ...