Leather Forever by HERMES. / エルメスのレザーのものがたり。

エルメスの特別エキシビジョン、「LEATHER FOREVER」。

長蛇の列ができることも納得の、わかりやすく、刺激的で充実した内容でした。




実際のレザーに触れられるスペース。


鞄のデザインを選ぶと、その型紙がレーザービームで表現されます。


名前は「ズーズー」。オーストリッチ。

会場は洋風建築を代表する建物、表慶館。


ケリーの中にいろいろなバッグが。


ブランドとしての知名度も高く(awareness)、クオリティやデザインへの信頼性も抜群で、プレミアムブランドといえば…「エルメス!」(recall)と実力もトップ。

なぜこれほどお金をかけてエキシビジョンを行うのかな、と思ったりもします。

もちろん、企業としてのCSR的な意味もあるし、伝統を守ること自体メセナ活動だし。

マス向けに“世界観” を訴えるのって難しい。

けど、その一つの手段がこういったエキシビジョンですよね。

実際、エルメスの直営店に足を運んだことがない人も、こちらの展示を観に行ったのでは、と思います。

すでに商品、ブランドが【良い】ものであると認識されているブランドが目指すもの、それって世界観の共有だと思うんです。

物質的なものに懐疑的で、ノームコア、例えば「流行がないことが一つの流行」とも言われている今。

売るのは“世界観” という思想に収斂されてきているのかな、と。



ディオールの「エスプリディオール」もそうですが、2014年はファッションブランドによる大規模なエキシビジョンが多数ありました。

また、常設で展示スペースを持つのはエルメス(フォーラム)以外にも、ルイ・ヴィトン(ESPACE)やシャネル(NEXUS HALL)などがあり、プレミアムブランドほど熱心です。

グッチのフリーダ・ジャンニーニは、東日本大震災の被災地行った際、グッチとして一億円の寄付をしました。

「グッチは今パワーがあるからファッションを通じて何かができる。社会に対して柔らかな取り組みで貢献できる」と。

5年後、10年後これをキッカケに親近感を持った人たちが、どちらかを選ぶとするとグッチを選ぶ、そうなればいいし、そういうブランドでありたいよね、ということらしいです。

値段が高くて雑誌や有名人が持っている有名なブランドだから買う、というだけではなく
チャリティや芸術への取り組みが素敵だから着よう、
そういった“世界観重視” の価値観がファッションの背景にも濃厚です。



ちなみに…
展示の最後にある、バーキンをもつヴィーナス像が素敵でした。

ヴィーナスの系譜のなかでもキーになる「恥じらいのウェヌス」の代表、カピトリーノのヴィーナスがモチーフと思われます。

肉的で官能的、しかし女神の慎み深さも併せ持つ、ヴィーナス。

そんな女神にバーキンを持たせるんて、さすが!

カピトリーノのヴィーナスのオマージュ?


こちらはカピトリーノの元ネタ。

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